シイタケ・ナメコの菌打ち

地元自治会の皆さんに、シイタケ・ナメコの菌打ちを教えてもらいました。
スーパーに売っている菌床シイタケに比べて、皆さんが作っている原木シイタケがめちゃくちゃ美味しくて、もう一軒の新たな移住者と二人で秋のうちに山から原木を切り出してあったのです。
最新の方法から、電気のなかった頃の道具も使わせてもらいました。
色んなやり方、言い伝え、怪しげなものまでも、そのひとつひとつに意外にも科学的説得力があったりして驚きました。
昨秋に採れたシイタケ、この春採れたシイタケを突きながら、幸せな一日を過ごしました。





ジビエについて考えた

「野生のイノシシを食べるなんて気持ち悪い」

これは移住してはじめてイノシシを頂く機会を得た時に、妻が言った言葉でした。
少なからず僕もそれに近い気持ちはありました。
ところが頂いたイノシシの肉はとても美味しく、当時の自治会長から「狩猟免許を取らんか?」と勧められた時には喜んで取りに行くことになったのでした。

その後、はじめての解体、はじめての止め刺し、多くのイノシシ料理を食べることを経験するにつれて、自分の感覚は大きく変わってきました。
「飼育した豚を食べる方がよっぽど気持ち悪い」という感覚になってきています。

年末に罠にかかったイノシシは推定5歳メス、体重80~90kgくらいでした。おおよそ平均的な大きさだと思います。
しかし、スーパーで売っている豚は、1.2kgで生まれて、なんとわずか6か月程度で100kg以上になったところで出荷されるそうです。
それだけ大きくなるように品種改良されているのはもちろんのこと、どれだけ密集させて、どんな餌を与えて、どんな薬を与えたらそんなに短期間に大きくなるのでしょうか?
野生のイノシシは、山を駆け巡って、どんぐりや栗やタケノコ、時には畑のイモなどを食べて育ってきました。抗生物質などは当然打っていません。
健康そのものです。内臓もピッカピカです。
いったいどちらが気持ち悪いのでしょうか?

イノシシが「臭い、固い」と言われるのは、血抜きが悪いという問題もありますが、基本的に大人の獣の肉は固くて臭いのです。
羊の肉は臭いで有名ですが、子羊の肉(ラム:生後12か月まで)は臭くありません。
豚も大人になれば筋肉も発達してくるので固くなるし、臭くもなります。何よりも個体差が出てきます。

鶏で言ったら地鶏でも4~6か月で出荷しますし、ブロイラーは2週間で出荷されます。
短期間で子どものうちに大きく育て、味や柔らかさを均一に出荷することが、現代の消費者の要望を満たすことに繋がっているのです。
都会に住んでいた頃の、固い肉や筋が苦手だった僕や、安い肉を探し求めていた妻に、養豚農家は合わせているのです。

それに対してジビエを楽しむということは、味の違い・固さの違い・臭いの違いを楽しむということであり、その違いを生かした料理法を楽しむことなのだと分かりました。

我が家では昨年大きな冷凍庫を買い、今回のお肉も半年くらいかけて無駄なく感謝して頂いていこうと思っています。

そんなこんなで、今年の新年は、地元の神社とお寺に初詣でに出向き、今まで以上に山や動植物への祈りを熱心に捧げている自分がいることに気づきました。


※以下、写真にグロいシーンがあるので苦手な人は見ないでね。

今回は笠置猟友会に新しく入った若者が仕掛けたくくり罠で。
両足をしばって生きたまま捕獲。
この方法だと解体直前に放血することができます。
彼は仕事があると言って解体には参加できませんでした。
写真に写っているのは、夜行バスで川崎から飛んで来てくれた息子です。

皮はぎはカッターナイフを使って。

解体には妻も参加。
かつては「絶対無理!」と言ってた人が
こんなこともできるようになっています。

ミンサーを買いました。
なるべく無駄にしないために、ブロックにならない部分をひき肉にします。
これでソーセージもハンバーグも餃子もできます。

はい、ソーセージです。
腸を洗うのがとてもたいへん。
市販のソーセージがあんなに安いのが不思議。

今回はじめてもつ煮をしました。
何回も煮てはこぼして臭みを取ります。

こちらは「馬油」ならぬ「ぼたん油」
ネットで見たら馬油よりも高価で良質だと。
使ってみたら今までに使ったハンドクリームよりも極上!
なめらかでしみ込みが良く、保湿効果がすごい。
その上、手がほかほかする。漢方効果もあり。
いろんなところが無駄にできない。

「ずく」と「カンコー」

あまりに田んぼの乾きが悪いので、9畝(約900平米)の田んぼに5cmの厚さで籾殻を撒きました。45立米です。軽トラに1回2立米積んで20回以上。11月一ヶ月間は時間があけば籾殻を運んでいました。効果があるかは分かりませんが、「何もしないよりは何かがある」と、仕事の合間に運びました。かなりエライ作業でしたがやり遂げられたのは、ある学びがあったからです。

僕は川崎から恵那に来て、生きていく上で大事なことを知りました。
それはこの地域の言葉で言う「ずく(尽く)」と「カンコー(勘考)」です。

「ずく(尽く)」とは粘り強さとか、辛抱とか、我慢強さと思われます。「ずくがないでアカンな」「ダラダラしとらんとずくを出せ」「あいつはずくがあるでエエな」などと使います。
「ずく」がなければ何もできないし、「ずく」さえあれば何でもやり遂げられます。
調べてみたら、「ずく」という言葉は熊本から青森まで使われているようで、農業人口の割合の多い地域で使われるようです。確かに商売や狩猟は発想やひらめきが大事で、農業では一にも二にも「ずく」なのかもしれません。
「〇〇ずくし」「〇〇ずくめ」「力ずく」「尽くす」そんな言葉が語源と関係ありそうです。

「カンコー(勘考)」とは工夫みたいなことで使われています。「こっからはカンコーせなアカンぞ」「おお、エエカンコーしとるな」などと使います。
名古屋で働いていた友達が「カンコー(勘考)」という言葉はよく聞いたと言っていました。「カンコーしてちょ!」と言ったら「値下げしてくれ」という意味なのだそうで。「カンコー=勉強」と取っていたそうです。頭を使うという意味では同じかもしれませんが、商売の町では値下げを意味し、農村では工夫を意味するとは、なかなか興味深い言葉です。

田舎で暮らすということはとてもシンプルで、自分の頭と身体の9割を「絶対にやり遂げる!」という「ずく」で満たして、後の1割で「どうやったらうまくできるか」などの「カンコー」で補うのです。この2つさえあれば充分です。というか、これ以外は何もいらないかもしれません。やり遂げた後、うまく行くかどうかは、神様や自然に委ねるしかありません。

今の暮らしにはパワーゲームもマネーゲームもありません。心配事やストレスも、そんなこと考える暇もありません。無限にある百姓仕事や山仕事、庭仕事に一日一日取り組むだけです。

籾殻を撒いた後。
田んぼの周囲に溝を切りましたが、まだ乾いていません。
水はけが悪いのです。溝にしばった竹を入れようと思います。

別の角度から。我ながらよく頑張った。

その後、トラクターで土に混ぜ込みました。

2018ゆず祭り大盛況!

2018年11月18日、ふるさとゆず祭りが開催されました。
昨年まで行ってきた笠置コミュニティセンターから、毛呂窪体育館とその周辺に開催場所を変更したのが功を奏して、過去最高の来場者数となりました。
昨年までは、残念ながら「役やでしゃあない」的な雰囲気がプンプンしてましたが、今までよりもスペースが広がったおかげで、やりたい人がやりたいことをやれるお祭りに変わってきたと感じました。
体験遊びがたくさんあって、個人の出店者も、プロの参加者もいて、多くの人たちの「やりたい!」が祭りになっていました。
笠置町の熱気がグッと高まった一日でした。
来年は、「私も出たい!」と思った人も多いでしょう。きっともっと盛り上がりますよ!
企画・運営に携わった皆さん、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

今年のゆず祭りポスター



みてください、この盛況ぶり!
笠置駐在さんが、これ以上参加者が増えたらイベントを中止させようとしたとか。

笠置山栗園さんの焼き栗

笠置ゆず組合さん

笠置はぁもにぃの店

個人の出店者さんが手作りバックを売ってたり・・

イヤリングを売ってたり・・

お隣の飯地町から「森の色鉛筆作り」

昔の遊び、竹馬体験

笠置消防団企画、ストラックアウト!

笠置ボルダリング協会のボルダリング体験は大人気!
体育館でも様々な出店者が・・

笠置町を写した自慢の写真

子どもたちの作品展示も・・

市民講座の作品も・・

何やら面白そうなことを・・

自分が好きな物を好きな人はどこかにいる!

ドライフラワーでリースを飾って・・

自然薯掘り!

とうとう念願の自然薯掘り体験しました!
山に住むからには絶対にやりたかった~。
去年も自分でチャレンジしてみたけど、どうやっていいのか分からず断念していました。
今回は、自然大好きな石屋さんにレクチャーしてもらいながらの再挑戦。
もう、イノシシのように掘りまくった(^^)
食べてみたらビックリするほどなめらかでクリーミー。
旨い!ああ、大地の恵み!幸せだ~!

これが自然薯の葉っぱ。似てて違うものもあるよ。
茎の太さがポイント。

柔らかくて途中で折れちゃった。

繋がってたらこんな感じ。

終わったら穴を埋めておくのがマナー。
そこが人間とイノシシとの違い。

自然薯のとろろ・落とし揚げ・ムカゴの素揚げ

第10回えなの木、もりの木、きになる木コンテスト

「えなの森林づくり推進委員会」主催、「第10回えなの木、もりの木、きになる木コンテスト」という企画が、8/31から9/2まで恵那文化センターにて開かれました。その推進委員会に、僕も今年から参加しています。

会場には小中学生の木工作品が展示されているのですが、木工を夏休みの課題に選んでいる子の多さに驚きます。今どきらしくお父さんやおじいちゃんに手伝ってもらった感じの作品の数々なのですが、それにしてもそのレベルの高さに更に驚きます。なぜなら、こちらには大工さんや木工職人さんも多く、そんな職人さんでなくてもインパクトドライバーやサンダーや丸ノコは、多くのお宅にそろえてあるのです。簡単な家具なら買ってくるのではなく、自分で作るというのがこの地域では当たり前なのです。自分で家や物置を建てた素人さんも数多く知っています。子どものうちからそういう道具に触れる機会を与えられているというのは、とても恵まれた環境だと思います。

また、森林づくり委員会としても木や森に親しんでもらうために、僕の提案を受け入れてもらって、ロビーに「材と生木と葉っぱ」を並べて展示しました。手に取って木の感触を味わってほしいなと思います。

恵那市は植物の種類がべらぼうに多い地域であり、家具職人や木工職人のレベルが日本有数の地域でもあります。そんな自然や文化があることはスゴイんだってことをまず知ってもらって、地元の人たちに誇りに思ってほしいと思う今日この頃です。







JIA東海住宅建築大賞「毛鹿母の家」

恵那市笠置町毛呂窪に、昨年移住されたTさん邸のリノベーションが、JIA東海住宅建築大賞を受賞されました。Tさんと設計士さんは、築100年のこの住宅の外観を変えずに、中だけをモダンなスタイルに変更しました。
審査委員たちは、外観を変えないのが建築賞に値するのかどうか、議論百出だったそうですが、この毛呂窪の美しい棚田の景観には、昔ながらの農家の住宅こそがマッチすると、斬新な評価を与えました。
建築業界にとっても、空き家をどのように地域に溶け込むようにリノベーションしていくかは、現在大きな問題になっており、今回の賞はそこにひとつの答えを出したと言えそうです。
地域の住民にとっても、Tさん一家は「百年以上続いた家を受け継いだ新しい家族」として暖かく迎え入れられています。

今の都会の移住希望者は、「田舎の新しい家に住みたいわけじゃない、古い家をリフォームして住みたがっている」ということが証明されただけでなく、最先端の建築家さんたちの最高の評価も得たということです。
今回の賞の半分は、棚田の景観を守ってきた毛呂窪の住民が受賞したも同然だと思っています。
僕は常々、笠置町は本当に魅力的な地域だと言い続けていますが、その意見は地元ではまだまだ多数とは言えません。
https://www.hello-uu.com/uu-news/180730.html

Tさん邸と毛呂窪棚田の美しい景観。

地元の皆さんと結んだ四ツ目垣も、評価の一部になったと言われ、企画して良かったなと思いました。